お知らせ

「設備業IT環境実態調査2019」に関するアンケート調査報告

2019年9月～12月に実施した「設備業IT環境実態調査2019」のアンケート調査結果をご報告いたします。
ご協力いただきました皆様、誠にありがとうございました。

【調査目的】設備業におけるIT活用の状況を明らかにする。
【調査対象】全国設備業IT推進会 設備業の会員様
【調査期間】2019年9月19日～12月4日
【調査方法】ウェブ入力での回答
【調査項目】IT導入状況編
　　　　　　作図業務編
　　　　　　見積・積算編
　　　　　　事業承継編

一般社団法人全国設備業IT推進会 事務局

【IT導入状況編】調査結果について　（回答者数：26人）
  • パソコンの導入台数については、11台以上導入している会社が半数以上の58%を占めた。次いで6台～10台が27%、1台～5台が15%である。パソコンが0台すなわち導入されていない会社は、ないという結果になった。
  • サーバーの導入台数については、1台導入している会社が半数以上の58%を占めた。次いで2台～5台が23%、6台以上が8%にとどまっている。サーバーが0台すなわち導入されていない会社は、全体の12%という結果になった。
  • スマートフォンの利用台数については、6台以上導入している会社が半数以上の58%を占めた。次いで2台～5台が27%、0台が15%という結果になった。
  • タブレットの利用台数については、1台導入している会社が35%を占めた。次いで2台～5台が23%、0台が23%、6台以上が15%という結果になった。
  • ITシステムの利用状況について、導入されているのは、「積算・見積り」「CAD」そして「財務会計」「写真管理」「人事給与」と続く。設備業ならではの「原価計算」「工事スケジユール管理」「写真管理」「ファイル管理」と続く。
  • データのバックアップを「事務所にあるパソコンなどのハードディスクに取っている」ケースが多数の85%を占める。「事務所以外の場所にとっている」については、15%となっている。
  • 現在お使いのITシステムのクラウド化に「興味はある費用感を知りたい」「興味はあるがメリットが分からない」がともに42%となっている。「興味がない」と回答した会社も15%となっている。
  • これから導入したいシステムについては、「ファイル管理」「拾い出し」「文書管理」「工事スケジユール管理」「原価管理」と続く。
  • パソコンの導入は、もとよりスマートフォン・タブレット利用についても、業務で導入されている様子がわかる。Q5.の「現在どういったITシステムを利用しているか」の回答で一番多く利用されているCAD、積算・見積など専門分野での業務に利用されているのがわかる。
  • Q6にある「データのバックアップはとっていますか？」の問いに対して、バックアップは、取っているとの回答は、100%でありバックアップの重要性は、認識しているといえる。ただしかし、自社のパソコン等にとっている回答が多くを占めているのは、バックアップのクラウド利用が進んでいないことがわかる。
  • こちらの調査結果によると、ローカルとクラウドの組み合わせで利用しているのは、7%と少数である。クラウドの良いところは、台風や地震などよる自然災害により会社が破壊されても、データは無事生き残ることができる。しかしながら、セキュリティ面については、マルウェアなどの攻撃により100%安心だとは言えない。両方の面を考慮するとローカルとクラウドの両方の活用が良いがメリットを伝えきれていないのが現状である。
  • ITシステムのクラウド化に関して「興味があるが費用がわからない」「興味があるがメリットがわからない」との回答が84%を占める。何らかの興味があるが、何か必要なのかわからない状況なのであろうと考えられる。必要性を感じながらも、このような状況であるのは「どのサービスを選べば良いか」などシステムやサービスに明るい人材が社内にいないのが要因のひとつではないかと考えられ、また外部からも的確なアドバイスを受けることが出来ていないと考えられる。
  • 図2の「平成30年通信利用動向調査」にあるように、中小企業では、導入したくてもコストの負担だけでなく、不安やわからないことから導入を躊躇しているという状況は設備業とも共通している。これらを払拭することが、鍵を握っていると思われる。
  • これから導入したいシステムについては、「ファイル管理」「拾い出し」「文書管理」「工事スケジユール管理」「原価管理」と回答があった。一般企業と比較すると設備業ならではのシステム導入を検討しているのがわかる。企業にとってのIT導入とは、ITの導入を検討する際、導入にかかるコストと、効率化の効果をてんびんにかけ、導入に踏みきるのであるが、効果を見積もるためには、自社の業務プロセス全体を整理し、各プロセスでどの程度の時間やコストを要しているかなどを「見える化」しておく必要がある。
  • IT導入の際に企業が直面する問題として、コスト面だけでなく、自社にとって何か必要なのか見極める力の不足や必要な情報不足により導入に二の足を踏んでいる経営者もいるであろう。これらの経営者に対して、十分なサポートを行うことがIT導入を進める鍵になるのではないか。大企業であれば、社内に人材もおり検討に必要な情報を得ること自体はそれほど難しくはないが、設備業ではそれは難しい。ITに詳しい経営者仲間を通じて自社におけるIT活用の可能性を考え、導入を検討する場合もある。IT導入の成功事例を数多く取り上げることにより、IT導入のメリットがわかれば、設備業においても、さらにIT導入が進んでいくのではないかと思われる。
【作図業務編】調査結果について　（回答者数：21人）
  • 作図業務を社内で行っている会社は、90%を占めた。ほとんどの会社で、行っているという結果になった。
  • 作図作業の内容は、衛生設備、電気設備、電気設備（結線図・回路図）、空調設備、一般住宅の給排水申請と続いている。
  • 作図方法については、CADで作図を行っており、汎用・2次元CADを使用している会社が63%を占めた。次いで専用CAD・2次元、専用CAD・3次元の利用が、16%、汎用・2次元CADの利用が5%となっている。手書きで作図を行っている回答は、いないという結果になった。
  • CAD導入本数（ライセンス数）については、2台～5台が導入している会社が半数以上の63%を占めた。次いで1台が16%、10台以上が11%と続く。複数人でCADを利用している状況がわかる。
  • Q5. 現在どういったITシステムをお使いでしょうか？（複数回答可）
  • ITシステムの導入状況は、「CAD」を導入している会社が多く、次に「積算・見積り」「原価管理」「写真管理」と続く。「財務会計」「人事給与」を利用して会社もある。「拾い出し」について、導入されている会社が少ないという結果になった。
  • データのバックアップを「事務所にあるパソコンなどのハードディスクに取っている」ケースが多数の80%を占める。「事務所以外の場所にとっている」については、10%となっている。「バックアップをとっていない」と答えた会社も10%とあった。
  • 現在お使いのITシステムのクラウド化に「興味はある費用感を知りたい」「興味はあるがメリットが分からない」と答えた割合が多く、導入をしたくても、よくわかっていないのが現状である。「興味がない」と回答した会社も11%となっている。
  • これから導入したいシステムについては、 「拾い出し」 「積算・見積り」「日報・勤怠管理」 「写真管理」と続く。
  • 作図業務業務に関して、手書きの回答がないことから、PCでCADを導入していることがわかる。CADを使用するメリットについては、広く理解されているのであろう。ただ、汎用・2次元CADを使用している会社が半数以上となっており専用CADの導入は、まだ進んでいない。データのバックアップ・クラウド利用について、バックアップの重要性は、認識しているといえる。ただしかし、自社のパソコン等にとっている回答が多くを占めていておりバックアップのクラウド利用が進んでいないことがわかる。
  • ITシステムのクラウド化に関して【IT導入状況編】調査結果と重なるが、何らかの興味があるが、何か必要なのかわからない状況が導入が進めない要因なのであろうと考えられる。これから導入したいシステムについては、「拾い出し」「積算・見積り」「日報・勤怠管理」「写真管理」と続く。その他導入したいツールは、ビジネスチャットツール（ＬＩＮＥＷＯＲＫＳ等）、施工管理クラウドツールとあった。IT導入に向けてIT推進会ができることは、専用CADの良さや利点、などを引き続き、展示会等で知ってもらい導入に繋げていく。特に「働き方改革」が叫ばれる今、作業効率の向上により生産性を高めることが重点課題となっている。「業務効率化」のためにはITツールの導入は、必要不可欠である。
【見積・積算編】調査結果について　（回答者数：15人）
  • 積算の担当者については、「経営者」と答えた会社が36%、次いで「事務作業者と現場担当者との協業」が29%、「専任（事務作業者）」が21%、「管理担当者」が14%とという結果になった。
  • 積算業務にかける時間については、全体の業務の2割～3割を占める会社が半数以上の58%を占めた。次いで、5割が20%となっている。専任については、1社との回答があり、積算業務については兼業で行っていることがわかる。
  • 積算の活用は、「見積りの提出」40%、「入札用」が33% であり、この2つの活用が73%を占めている。
  • 積算資料をそろえているかについては、「公共工事の標準仕様書など」答えた会社が53%、「積算資料など」が47%とこの二つに留まっている。
  • 材料拾い出し作業については、「手拾い」が半数以上の53%を占めた。「行っていない」と答えた会社も20%あり、システムの活用がされていない状況がわかる。
  • 積算作業については、「見積積算システム」利用が半数以上の67%を占めた。「Excel」と答えた会社も27%あり、システムの活用がされていない状況がわかる。
  • 積算で困ったことや迷ったことについての回答は、土木積算システムあればいい。システムを導入していますが、場所や内容により変動があるので、予測して手加減を最終段階で加えます。それが、一番迷います。自社の業務（消火設備工事)に合致した見積ソフトが無い。アトラスやレッツとよばれるソフトは導入しているが、設備工事(公共の大型物件)の積算に困っている。
  • 見積・積算業務に関して、積算業務を行っているのは、経営者が多く、次いで事務作業者と現場担当者との協業となっている。専任（事務作業者）を置いている会社は、約2割ほどである。積算業務にかける時間については、全体の業務の2割～3割と答えた会社が半数以上の58%を占めた。次いで、全体の業務の5割が20%となっている。拾い出しの方法について、「手拾い」が半数以上の53%を占めた。「行っていない」と答えた会社も20%ある。
  • 積算作業について「見積積算システム」利用が半数以上の67%を占めた。「Excel」と答えた会社も27%あり、システムの活用が十分にされていない状況がわかる。これらの業務の割合は、ITツールを導入することにより、縮小できるのではないかと思われる。IT導入に関して導入自体について消極的である理由として、現場にはこれまでの業務を変えたくないという意識が働きやすいく、さらには、新しいシステムや機能を導入したいと思っても、コスト負担や人材の不足等により積極的な導入が行われていないと思われる。そして、IT投資の意識が低いことも考えられる。これらを払拭することが、IT推進会の役割でもあるといえる。また導入後にも課題がある。2018年に実施された独立行政法人中小企業基盤機構のIT導入に関するアンケート調査によると導入後に課題があると回答は、70%を占めている。
  • 理由としては、コストの負担は66%だが、以下の回答「導入したが使いこなせない、効果が把握できない、相談できる相手がいない、導入したITが業務に適していない」は、解決できる課題ではないかと思う。IT導入を行ったが使いこなせなければ意味がない。単なる、環境整備だけではなく、ITリテラシー底上げについても取組みが必要と考えられ教育が効果を発揮するカギになると考えられる。
  • IT導入に関して 「働き方改革」により、IT導入を行ったり、仕事のやり方を見直したりする良い機会であると捉えまた、従業員に対しても、一人ひとりが「生産性の向上」について意識を持つこと。仕事に対する満足度を増し、働きやすい職場を提供することが、よい人材の確保、社員の定着にも繋がっていくといえる。
【事業承継編】調査結果について　（回答者数：9人）
  • 会社の10年後の夢について語りあえる後継者候補について、「後継者候補がいない」と答えた会社が半数以上の56%を占めた。次いで「役員・従業員」が33%、「子供」11%である。
  • 候補者本人に会社を託す意思がある事を明確に伝えているかについて、「後継者候補がいない」と答えた会社が半数以上の56%を占めた。次いで「伝えていない」が22%、「明確に伝えた」「一応伝えた」がそれぞれ11%である。
  • 候補者に対する経営者教育や人脈・技術などの引継ぎ等、具体的な準備を進めていると答えた会社は、22%に留まり、準備ができていない会社が78%を占めている。
  • 事業承継の準備として、関係者への理解や協力が得られるよう取り込んでいるかについては、半数以上の67%が出来ていないと答えた。
  • 事業承継の準備を相談する先については、半数以上の56%がないと答えている。
  • 事業の売却や譲渡による引継ぎを考えている会社は、ない状況である。
  • 事業の売却や譲渡による引継ぎを相談する専門家については、いない状況である。
  • 事業承継の準備状況について、後継者がいない答えた会社は、半数以上の56%を占めた。後継者が決まっていても、伝えていないが22%、明確に、または一応伝えているのが22%となっており、事業承継について決まっている会社は、全体の22%に過ぎない。参考資料4の東京商工会議所による「事業承継の実態に関するアンケート調査」と比較すると候補者を決めている会社は、54%と傾向は似ているが、設備業の場合は、引継ぎの準備が具体的に進めていると答えた会社は、22%に留まり準備ができていない会社が78%を占めている。関係者への理解や協力が得られるよう取り込んでいる会社は、33%となっている。周知も含め、具体的な準備を行っている会社は、少ないことがわかった。
  • 事業承継の準備・対策を進めるためには、まずは後継者を決定することが重要である。後継者がいない場合には、親族外承継・M&Aの検討も必要である。
  • 図5参照元:2018年東京商工会議所による「事業承継の実態に関するアンケート調査」
  • 事業承継の時期について、今回のアンケートではふれていないが、事業承継の時期に対しても重要である。図5の30代で事業を承継した経営者は、事業承継後に業況を好転させているという結果が出ているように、30代～40 代前半で事業を引き継いだ経営者は、事業承継後に前向きな取り組みを行うことで、業況を好転させている割合が高い。IT導入にも積極的に取り組むのもこの年代の経営者であるといえる。最後に事業承継には、一般的に3年～5年はかかると言われている。後継者がいない場合には、近年増えている親族外承継への検討も視野に入れた方が良い。早めの準備と対策を行うことが、円滑な事業承継になることを経営者の方々に早く気づいて欲しい。
  • 円滑な事業承継の流れ

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